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2040年以降を見据えた医院経営(産婦人科編)のあり方とは?

2030年問題とは「人口の1/3が高齢者」になり、労働力人口の減少ということが一般的な考え方です。では2040年問題そしてそれ以降はどのような社会現象が起こるのか。2040年問題とは、高齢化と人口減少が進行する中で予想される一連の社会的・経済的問題のことです。2040年頃に団塊ジュニア世代層(1971年から1974年生)が65歳を超え、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合が約35%に達すると予測されています。同時に少子化の勢いも止まりません。また2040年頃には現役世代に対する年金受給者の比率が高まっていると想定され、現役世代の負担が増大すると予測されています。そして、医療や介護の需要増加に対して人員や財源の不足が深刻化することも見込まれています。さらに、労働力の不足、生産性の低下、地方の過疎化、世代間格差の拡大など、多岐にわたる問題が懸念されています。

2040年問題とは

WHO(世界保健機関)と国連は、65歳以上の人口(老年人口)が総人口の21%を超えた社会を超高齢社会と定義していますが、日本は2007年の段階で超高齢社会に突入しています。2040年の日本は、その超高齢社会をはるかに超えた高齢社会に突入すると見られています。「2040年問題」とは、日本の人口減少と少子高齢化が進行することにより、2040年に顕著に表面化するさまざまな社会問題の総称です。 そして、2025年問題、2035年問題、そして2040年問題はいずれも世代人口の変化による問題ですが、2025年問題が高齢者人口の過渡期にあたるのに対し、2040年問題はそのピーク時となります。

では統計上2040年の何が問題なのか

国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、2040年の日本では65歳以上の高齢者が3,929万人となり、全人口の34.8% を占めると予測されています。2040年は、1971年から1974年にかけて生まれた、いわゆる「団塊ジュニア世代」が65歳を超える年であり、高齢化の進行によって現在の社会保障制度を維持できなくなる可能性があります。 さらに、高齢化とともに進行するのが生産年齢人口(15歳〜64歳)の減少です。2040年の日本では働き手が足りず、深刻な労働力不足に陥ることも懸念されています。

2040年問題が社会に与える影響

2040年の日本にはさまざまな問題を生じることが予想されます。 2040年問題が社会に与える影響をご紹介します。
・労働力不足の深刻化
国内の生産年齢人口(15~64歳)が2040年には2021年より1,230万人まで下がります。これにより、2040年には深刻な労働力不足に陥る可能性があるのです。 人手不足は企業経営、病院・医院経営に多大な影響を及ぼし、既存事業の運営に支障をきたすおそれがあります。さらに、高齢化の進行により需要が高まる医療・福祉業界においても、深刻な人材不足が指摘されています。

・医療・福祉人材の不足
2040年にはこれまで以上に医療・福祉人材の不足が深刻化します。厚生労働白書令和4年によると、2040年において医療・福祉分野への就業が必要と見込まれる人数は1,070万人であるのに対し、実際に確保できる人数は974万人にとどまるといわれています。つまり、約100万人の人材不足が生じると予測されているのです。 なお、確保可能と見込まれる974万人の就業者数は経済成長と労働参加が進む場合の医療・福祉就業者数です。2040年に向けて働き手の確保が急務となっています。


データ
厚生労働白書令和4年


・社会保障制度の危機
「団塊ジュニア世代」の高齢化によって、若者が高齢者を支える、現行の社会保障制度を続けることは厳しくなります。2040年時点の人口ピラミッドを見れば一目瞭然で、団塊ジュニア世代が65歳以上になる高齢期にピラミッドの最も高い山ができる形になっています。

・経済の縮小化
先述のとおり、国内の生産年齢人口(15~64歳)は今後ますます減少していきます。2040年時点の生産年齢人口は6,213万人と、2021年推計より約1,230万人減少することが予測されています。 生産年齢人口の減少は各方面で労働力不足を引き起こし、ひいては日本経済の縮小化にもつながりかねません。2040年には生産年齢人口の減少が日本経済にマイナスの大きな負荷をかけることが懸念されます。加えて、経済活動の不活発化や投資先としての魅力低下など、経済規模の縮小がさらなる縮小を招く「縮小スパイラル」に陥る可能性も指摘されています。

・内需系中小企業の倒産の拡大
前述の生産年齢人口(15~64歳)の減少及び経済規模の縮小は内需関連企業に対して大きな影響を及ぼすと言われています。つまり消費をすると見込まれる人口が年々減ることが予想されていることによる日本という国が持っている経済規模が縮小することによる売り上げ規模の自然減が起こるということです。これにより企業体力のない内需関連の中小企業の倒産が拡大すると予測されます。

・医療機関(もしくは医療法人)の倒産、合併、閉鎖等の拡大
全国総人口の低下とともに、前述の生産年齢人口(15~64歳)の減少及び経済規模の縮小により医療機関は患者数が2021年より相対的に減少します。それと共にコロナ後の医療機関ばなれも相まって医療機関の診療報酬は低下の一途をたどると考えられます。そして医療機関同士の患者の奪い合いが全国あらゆる場所で発生することで医療機関(もしくは医療法人)の倒産、合併、閉鎖等が拡大すると考えられます。

・医師及び歯科医師、看護師等の医療従事者の人材余剰の発生
医師数は、地域偏在による深刻な医師不足に対応するため、2008年以降医学部臨時定員を増加し 毎年約3,500~4,000人増加しています。しかし、2029年頃に需給が均衡すると推計されています。そしてその後は前述の人口減少による患者数の目減りにより医師余りが発生すると言われています。また、看護スタッフも同様で現在看護職員の就業者数は、新規養成・離職防止・復職支援の取組により増加していますが、2040年以前に需要と供給が逆転すると考えられています。ただし地域や診療科による医療スタッフ偏在化については発生し続けると予測されております。

産婦人科は分娩、不妊症、婦人科病、など大きく分けてこの3つが診療の主となります。当然のことながら、どのような診療をしようと人口が減ったり、出生数が減少したりすれば患者数が減りますので経営は苦しくなります。

そこで、今回は産婦人科についてですので現状出生数が比較的多い地域で将来の状況をデータで見ながらご説明をしたいと思います。町田市の全人口の年齢別将来推計人口、町田市の女性の年齢別将来推計人口、町田市の出世数推移、町田市の出生数将来推計などのデータを基にご説明をします。

町田市の全人口の年齢別将来推計人口、町田市の女性の年齢別将来推計人口では町田市の今から約30年後の全人口と女性人口の将来予測をしています。これは国立社会保障・人口問題研究所のデータを基にして当社でデータ化したものです。

このデータで分かることは町田市全人口、町田市女性人口とも5年経過するごとに1番大きな山の部分が5歳上がっているということです。2050年の1番大きな山は75~79歳です。つまり世代別人口の中で一番大きな人口を占めているのが75~79歳ということになります。ちなみに2013年の町田市の全人口データでは40~45歳に1番大きな山がありました。この2つのデータでわかることは2013年からたった40年程度で高齢化が相当に進み、町田市としての生産性は大きく下がると言えます。

町田市の出世数推移、町田市の出生数将来推計は2003年~2023年の出生数の実績値と2030年以降の出生数の将来推計のデータです。ここでは2050年には町田市の出生数が年間2000名程度まで落ちるということです。つまり現在よりも約300名の出生が無くなるわけですからほぼ1院が無くなるとお考え下さい。

このデータの将来推計は町田市の晩婚化率などの要素は加味しておりません。また、出生数については全人口当たりの出生率で数値を出しておりません。町田市においては2008~2010年は町田市全人口対比で0.008%、2011~2013年は0.007%、2012~2018年は0.006%台、2019年以降は0.005%台ですので今回のデータでは出生率を0.005%として換算しました。しかしながら現実的に出生率が0.005%を下回った場合更に出生数が落ち込むことがありますので予めご了承ください。

では今後長く産婦人科診療を安定的に経営するにはどのように経営を行うのか。

1.経営に関する考え方を根本から変更することを厭わないこと


・開業する場合は10年で投資した金銭を回収し利益を出す経営実践
当初の予定以上に費用をかけても回収できたのは昔の話しです。利益がでるかどうか厳しく費用を精査する必要があります。

・エリアを問わず利益が取れそうな場所に点での事業拡大
エリア戦略を重視した経営戦略を立てることをお勧めします。やればはやる時代は終わりました。事業展開をする場合アメーバ経営のような会社組織を小さな集団(アメーバ)に細分化して小集団ごとに独立採算で運営する経営手法、例えば3店舗のクリニックを経営して2店舗が黒字、1店舗赤字トータルで黒字が出ているという経営ではなく、利益の大小はあっても3店舗共に黒字化していく経営を目指すべきです。それが出来ない場合何かが間違えたと考えるべきです。


2.医療機関の旧態依然、感覚に頼った運営をやめる


・すべての機器、物品類の仕入れの見直し及び相見積もりの導入
医療機器、医療物品の相見積もりはきちんととるべきです。

・ⅮⅩを利用した効率的な運営
DXを活用した医療機関運営は将来的に必要となります。


3.集患対応の実践


・データを活用した集患プラン構築
エリア戦略を理解できていないことということは患者集客をより困難なものにします。エリアでの戦略を把握できないままでは集客は出来ません。

・SNSを活用した集患活動
 対象者は20~50台の女性の女性が中心となります。従ってSNSを通してクリニックの魅力を発信することは必要です。

・人員を活動した集患活動

 
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